電子変圧器業界の概要

直流電源であれ交流電源であれ、軟磁性磁気コアからなる電子変圧器（軟磁性電磁素子）を使用する。軟磁性コアを使用しない空芯電子変圧器と圧電セラミック変圧器がすでに存在しているが、これまでほとんどの電源装置の電子変圧器では、軟磁性コアが使用されてきた。

電子変圧器は、半導体スイッチング素子、半導体整流素子、コンデンサとともに、電源装置の4大主要部品と呼ばれる。電源装置における役割に応じて、電子変圧器は、

1）電圧と電力変換の役割を果たす電源変圧器、電力変圧器、整流変圧器、インバータ変圧器、スイッチ変圧器、パルス電力変圧器、

2）広帯域、音声周波数、中周電力と信号を伝達する役割を果たす広帯域変圧器、音声周波数変圧器、中周変圧器、

3）パルス、駆動とトリガ信号を伝達する役割を果たすパルス変圧器、変圧器を駆動し、変圧器をトリガする、

4）元辺と副辺の絶縁分離作用を果たす分離変圧器、遮蔽作用を果たす遮蔽変圧器、

5）単相転移三相又は三相転移単相の役割を果たす相数変換変圧器、出力位相を変化させる役割を果たす位相変換変圧器（移相器）、

6）出力周波数を変化させるための周波数逓倍または分周変圧器、

7）出力インピーダンスと負荷インピーダンスを整合させる役割を果たす整合トランス、

8）安定出力電圧または電流の役割を果たす安定電圧変圧器（定電圧変圧器を含む）または安定電流変圧器、出力電圧を調整する役割を果たす調整電圧変圧器、

9）交流及び直流フィルタの役割を果たすフィルタインダクタ、

10）電磁干渉抑制作用を果たす電磁干渉フィルタインダクタ、ノイズ抑制作用を果たすノイズフィルタインダクタ、

11）サージ電流を吸収する役割を果たす吸収インダクタ、電流変化速度を緩める緩衝インダクタ、

12）エネルギー貯蔵作用を果たすエネルギー貯蔵インダクタ、半導体スイッチの方向転換作用を助ける方向転換インダクタ、

13）スイッチング機能を果たす磁気スイッチングインダクタとトランス、

14）インダクタンスを調整する役割を果たす制御可能なインダクタと飽和インダクタ、

15）電圧、電流またはパルス検出信号を変換する電圧相互誘導器、電流相互誘導器、パルス相互誘導器、直流相互誘導器、ゼロ磁束相互誘導器、弱電相互誘導器、ゼロシーケンス電流相互誘導器、ホール電流電圧検出器を起動する。以上の列挙から分かるように、直流電源、交流電源、特殊電源にかかわらず、電子変圧器が欠かせない。

電源を高周波スイッチで変換された直流電源と交流電源と定義する人がいる。電源技術における軟磁性電磁素子の役割を紹介する際には、高周波スイッチング電源における各種電磁素子を例に挙げることが多い。電子変圧器業界の市場調査報告によると、電子電源に使用される軟磁性電磁素子の中では、各種変圧器が主要な地位を占めているため、変圧器を電子電源における軟磁性素子の代表として使用し、それらを「電子変圧器」と呼ぶ。